FT-IRのお仕事

Fourier Transform Infrared Spectroscopy

スプリットレス注入法

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スプリットレス注入法

GCサンプル注入方法

以下のように分類される。

1.ホットインジェクション法
├1-1. スプリット注入法
1-2. スプリットレス注入法
└1-3. 全量導入法(オンカラム注入法)


1-2. スプリットレス注入法

スプリットレス注入法(Splitless injection)は分析対象成分の注入量を大幅に増やすことで、
低濃度試料も高感度で検出できる方法。

スプリットレス注入法は汚い成分を高感度で分析するときの選択肢となる。

誕生経緯

スプリット方式では試料の大部分を捨てているので、必然的に検出感度が低下してしまう。

そのため分析対象成分と溶媒の沸点差を利用し、
分析対象成分と溶媒を分離することで、
分析対象成分の全注入量をカラムへ送る方式が考案された。

これがスプリットレス注入法。

スプリットレス注入法では
10ppm以下の微量分析が可能となる。

スプリットレス注入法の特徴

スプリットレス注入法も試料気化注入法。

試料がカラムを流れる前に、あらかじめ気化させなければならない。

試料は注入口に比較的長い時間滞留する。


スプリットレス注入法の流れ

試料気化室を高温に設定し、
カラムは30℃から50℃程度の低温に設定する。

なお、溶媒の種類によってカラムの設定温度は変わる。

初期状態

パージバルブはオフ(閉)の状態。
注入口にはカラムに入るキャリアガスだけが流れる。

注入

試料を注入し、GC分析を開始する。

1分程度スプリットベントは閉じたまま。
セプタムパージは開いている(一部排出)


試料気化

試料気化室でサンプルが加熱気化する。

移動

加熱気化したサンプルは、その大部分がカラムに向かう。

そしてそれらはカラム内壁に付着する。

しかし、カラムが低温に設定されているので、
カラム先端の狭い幅で凝縮し、
先に進まなくなる。
(再濃縮によるピークの拡散防止)


スプリットベント開放

このタイミングでパージバルブをオンに切り替え、スプリットベントを開ける。
(スプリットに移行する)

試料気化室に残留した溶媒成分はスプリットベントから排出される。

昇温

カラムを昇温する。

カラム温度が上がるにつれて、
カラム先端の試料成分のうち沸点が低い順から気化し、
カラム内を流れ始める。

このとき不揮発性の成分が注入口のライナーに残る。

汚れたライナーは掃除あるいは交換をし、カラムの劣化をできるだけ避けるのが経済的。


試料注入量

0.1μLから3.0μL

試料注入速度

試料の注入は20秒程度かけてゆっくり行なう。


スプリットレス注入法のメリット

試料の分析対象成分の大部分がカラムに導入されるため、
低濃度試料も高感度で検出できる。

そして、スプリット設定した適切なカラム流量で分離できる。

同一試料を同じ体積注入する場合、
スプリットレス注入法のほうが
スプリット注入法よりも
分析対象成分のピーク面積は大きくなる。


パージオフ時間

パージオフ時間(スプリットレス時間、サンプリング時間)とは、
試料を注入してからスプリットラインを開放するまでの時間のこと。

(パージバルブをオンに切り替えるまでの時間)

大体30秒から90秒程度。

この時間内にカラムに導入されずに注入口に残っていた成分はスプリットベントから排出される。

→ カラムへの試料導入量は、カラム流量×時間で決まる。
スプリット比とは無関係となる。


スプリットレス注入法の注意点

スプリットレス注入法では昇温分析が必須となる。

注入口ライナー(ガラスインサート)はスプリットレス用を使用する。

ライナーの中では試料が速やかに気化し、濃度が均一な気体にならなければならない。

気化蒸気がライナー上部からあふれててはいけない。
→試料成分の損失につながる。

溶媒によっては試料注入量が1μLから2μL程度でも、
その気化容積がライナー容量をオーバーすることがあるので注意が必要。


試料の残留やセプタム由来物質の影響を抑えるため、セプタムパージラインが必要。

熱に不安定な成分が加熱したライナー内で分解してはいけない。

ライナー内に少量シリカウールをセットする。
(吸着が大きい場合は無くても良い)

ライナー内に極性化合物が吸着してはいけない。

適切なキャリアガス流量

注入時、キャリアガス流量が多いとカラム先端での試料の凝縮が起きにくくなり、
ピーク幅が広がったり、
ピークが割れたりする原因になりうる。


スプリットレス方式が苦手な試料

気体試料

低沸点溶媒試料

溶媒よりも早く溶出する成分

溶媒のピーク近くに溶出する成分

なお、分析したい成分以外に高濃度の成分が試料に存在する場合は結局カラムの負荷が重くなるので、1-3の全量導入法を検討する。