FT-IRのお仕事

Fourier Transform Infrared Spectroscopy

GCカラムの種類と膜厚

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GCカラムの種類

ガスクロマトグラフィーのカラムはパックドカラムとキャピラリーカラムに大別できる。

1. パックドカラム(充填カラム)
2. キャピラリーカラム

1. パックドカラム(充填カラム)

パックドカラムは珪藻土でできた担体に液相を塗布したものをカラムに充填したもの。


理論段数が低いため分離能力はキャピラリーカラムに劣る。

ピーク形状は ∩

分離能力が低いので、分析時間の短縮には不向き。

GC初期の頃はパックドカラムが主流だったが、現在はキャピラリーカラムのほうが広く用いられている。

パックドカラムの特徴

内径

2mmから6mm

長さ

0.5mから5m

ピークあたりの最大負荷量

約10μg

理論段数

5000(2mのとき)

キャリアガス流量

10 mL/minから30 mL/min

パックドカラムの種類

吸着型パックドカラム
分配型パックドカラム



2. キャピラリーカラム

パックドカラムは管に固定相を塗布した充填剤を詰めている。

一方、キャピラリーカラム(Capillary column)は石英管の内壁の化学構造を
ジメチルポリシロキサン(無極性)や
ジフェニルポリシロキサン(極性)などに変えたものが固定相になっている。


キャピラリーカラムの特徴

内径

キャピラリーカラムの内径は0.1mmから1mm。

(内径0.1mm以下では試料量がすぐに過負荷になってしまう)

長さ

5mから100m

固定相膜厚

0.05μmから10μm

ピークあたりの最大負荷量

μgからng(数十ng)

理論段数

150万段(50mのとき)

キャリアガス流量

0.5 mL/minから10 mL/min
(消費量が少なくて経済的)

価格

1本あたり5万円から20万円程度。

カラムの長さが短く、
膜厚も薄いほど価格も安くなる。

キャピラリーカラムの構造

一般的にキャピラリーカラムは
内径0.2mmから0.3mm程度の溶融石英キャピラリーガラス(フューズドシリカ)の細長い管。

キャピラリーカラムの構成

・保護皮膜
・チューブ
・液相

キャピラリーカラム外側

カラム外側にはポリイミド樹脂がコーティングされている。
これによりキャピラリーカラムは曲げても折れにくくなっている。

キャピラリーカラム内側

キャピラリーカラム内側にはシリコーン(ポリシロキサン)などの液相がコーティングされている。

この液相がクロマトグラフィーの固定相に相当する。
(移動相はガス)

しかし、単にコーティングしただけではキャリアガス流に押し流されたり、
高温での使用で剥がれ落ちたり(ブリーディング)してカラム性能が劣化してしまう。

そこでキャピラリーガラス内部の石英表面Si-OHを、
アルキルシランのアルキル基とエーテル結合させ、
さらに有機物液相(油の一種)をコーティングする。

これにより有機物間の親和性で固定相(液相)をカラム内壁に固定させることができる。
(固定相をカラム内壁に化学結合させる)

こうした固定方法にはHPLCでの液液分配用カラム充填剤の固定技術が応用されている。

高温に注意

カラム内側の液相も、
カラム外側のポリイミドコーティングも
高温環境下でカラムを使用し続けるとやがて劣化する。


キャピラリーカラムのタイプ

PLOT型キャピラリーカラム

Porous Layer Open Tubular column

チューブの内壁に吸着剤の粒子層が存在するキャピラリーカラム。

吸着剤
ポーラス(多孔質)ポリマー、アルミナなどの無機吸着剤

PLOT型キャピラリーカラムは急激な圧力変化に影響を受けやすい。

圧力を急に下げると粒子層に吸着されていたガスが膨張し、粒子が脱落する。


WCOT型キャピラリーカラム

Wall Coated Open Tubular column

固定相をチューブの内壁に均一にコーティングしたキャピラリーカラム
(液相のみ)

SCOT型キャピラリーカラム

(液相+担体)


キャピラリーカラムのメリット

理論段数が高い

キャピラリーカラムは理論段数が高いので、分離能力が高い。

ピーク形状は │

パックドカラムでブロードだったピークがキャピラリーカラムではシャープになってクロマトグラムに現れる。

分離が良いのでカラム温度を高くしたり、キャリアガスを変更したりするなどして分析時間を短縮するのに向いている。

試料量が少ない

キャピラリーカラムは試料量を少なくして分析できる。

キャリアガス流量が少なくて済む

通常のキャピラリーカラムは内径0.2mmから0.3mmであり、
キャリアガス流量は0.1μL/minから10μL/min。

この程度のキャリアガス流量ならば、質量分析計の排気ポンプで対応できるので、GCとMSを直結することができる。

ただし、大口径キャピラリーカラムや充填カラムを使用するときは排気のためのインターフェース部が必要。

なお、カラム層内の温度分布は均一であることが条件となる。


固定相の膜厚

内径や膜厚が異なるカラム同士の性能を比較するときは相比(β:Phase ratio)が参考になる。

相比はカラム容積中での固定相の閉める容積に対する移動層の占める容積の割合を表す。

相比β
=カラム内半径〔μm〕÷2固定相の膜厚〔μm〕


相比が大きい場合

β>400 ⇒ 膜厚が薄い

理論段数の向上。

保持時間は減少し、分析時間は短くなる。

(分離能は低下する可能性がある)


相比が小さい場合

β<100 ⇒ 厚い

溶出が早い成分の理論段数は上がる。

保持時間が増加し、分析時間は長くなる

膜厚が厚いと液相成分の剥がれ落ち(カラムブリード)が起きやすくなる。