FT-IRのお仕事

Fourier Transform Infrared Spectroscopy

ICP-MSの原理

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ICP-MSの原理

ICP分析の用途

ICPを利用した分析方法には以下の二つがある。
このどちらも定性分析と定量分析が可能。

1. ICP発光分析 (ICP-AES)
2. ICP質量分析 (ICP-MS)


ICP-MSの特徴

ほとんど全ての無機元素を同時分析できる。

検出限界がpptオーダー(ng/L)

ICP-MSの用途

電子材料分析
水質分析
など


2. ICP質量分析(ICP-MS)とは

誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)とは、
ICPで試料を運ぶキャリヤーガスにはアルゴンを用い、
大気圧下で無機元素のイオン化を行い、
このイオンを質量分析計(MS)で分離・検出する方法のこと。


ICP-MSの分析装置

ICP-MSは3つの主要部分で構成されている。

イオン源(ICP)

イオン化部

質量分析部


ICP-MSのイオン源

ICP-MSのイオン源はプラズマ(ICP)。

プラズマは大気圧中で大量のアルゴン気流に電場をかけて生成し、そこへ試料を導入して無機元素をイオン化する。

ICP-MSの圧力ギャップ対策

イオンを分離・検出する質量分析計は高真空を必要とする。

この圧力ギャップの対策として、常圧のイオン化部と減圧の質量分析部との間に頂点に小さな穴(オリフィス)を開けた2枚の円錐板(コーン)を置いたインターフェース部を設置する。

その空間を真空ポンプで減圧してアルゴンガスを排気する。

このコーンの
プラズマ側をサンプリングコーン、
MS側をスキマーコーンという。

このようにMSの差動排気にはサンプリングコーンとスキマーコーンを使用している。

イオンはコーンの孔を通ってMSのイオンレンズ部に導入され、収束される。


コーンの注意事項

コーンは銅Cu、ニッケルNi、白金Ptなどで作られており、測定対象元素を含むコーンは使わずに、そのつど適切な材質のコーンを選択する。

高濃度試料溶液の場合、コーンにプラズマからの試料が付着しやすいため、メモリー効果を引き起こす。

測定用試料溶液中の塩類濃度が高いとサンプリングコーンおよびスキマーコーンのオリフィスに不溶性物質が析出してオリフィス径が小さくなるため感度が低下する。

このため総塩濃度を0.2%(wt/vol)以内に抑えることが望ましい。


ICP-MSの検出器

そして生成された元素イオンは減圧した質量分析計へ導入され、質量分析(MS)により検出される。

四重極形質量分析計のメリット

ICP-MSのMS部には四重極形(QuadruPole、QP)の質量分析計(QMS)が多用されている。

・QMSはあまり高くない真空度ですむ。
なぜならばイオン化部は常圧で、しかも多量のアルゴンを流しているから。

・QMSは低質量部で感度が高いので測定に適する。
無機イオンの質量数は高くても数百どまり。

原子量40のアルゴンをキャリヤーとしていること、試料が無機塩類溶液であることを考えると、バックグラウンドとなる干渉イオンはいずれもm/z=80以下である。

元素ごとのICP-MSの検出下限の目安

S:500〔μg/L〕
P:20〔μg/L〕
Ca:5〔μg/L〕
Se:0.5〔μg/L〕
As:0.05〔μg/L〕


ICP-MSの注意点

純水を試料として導入した場合には、多原子イオンのスペクトルが現れる。

アルゴンプラズマがイオン化源である場合は、純水を導入した場合でもArO、ArOH 、Ar2、などArに起因する多原子イオンが現れる。

多量の共存元素が存在すると、測定対象元素のイオンカウント数が減少する。

ICP-MSではプラズマガス、水、試薬、それらの化合物のスペクトル線が同時に現れ、その質量が試料成分の質量と重なることがあるので注意が必要。

原因

イオンレンズ系における空間集電効果であるマトリックス干渉

サンプリングコーンとスキマーコーンとの間で起こる原子間衝突や拡散


ICP-MSと酸

ICP-MSで試料の溶解に使用する酸はMSの観点から硝酸が最適とされている。

検量線溶標準液と測定用試料溶液の酸濃度はできるだけ一致させる。

どんな分析でも、試料溶液と標準液の組成はなるべく似た組成とすることは分析の鉄則。

ICP-MSでは試料のアルゴンキャリヤー流への噴霧と、プラズマ中でのイオン化というプロセスがあるため、この原則はできるだけ守らないとダメ。


高周波プラズマ質量分析

高周波プラズマ質量分析計は水溶性試料の元素分析において高感度を示す分析方法。

高周波プラズマには、
誘導結合プラズマ(ICP)

マイクロ波誘導プラズマ(MIP)とがあるが、
よく使われるのはICPのほう。