FT-IRのお仕事

Fourier Transform Infrared Spectroscopy

ICP-AESの原理

広告

ICP-AES(OES)の原理

ICP(誘導結合プラズマ)とは

ICP(誘導結合プラズマ:Inductively Coupled Plasma)とは、
高周波(RF)電流を流し、電磁誘導によって発生した電場の中心でアルゴン原子Arを励起してプラズマ化させたもののこと。

ICPにおけるプラズマとは、Ar原子が電離してアルゴンイオン(Ar+)と電子e-が高温の中で混沌としている状態のこと。

Ar+やe-のような電荷を持った粒子は電場の中で運動し、近くのAr原子に衝突する。

このとき原子はイオン化され、電子を放出する。

この連鎖が次々に起こってプラズマが発生する。


Arプラズマの性質

・非常に不安定

・6000℃から10000℃の高温

・多くの元素を励起発光させることができる。


ICPは励起温度が6000 Kから8000Kと高いため、励起効率が良い。

そのため全ての金属元素と非金属元素のリンP、イオウS、ヨウ素Iの発光分析を行うことができる。

ほとんどの分析元素の発光線はかなり短波長で、500nmより長波長は測定にあまり使われない。

たとえば、金属の最高感度分析線は90nmから460nmの範囲にある。

500nmより長波長側で測定される元素

ナトリウムNa(589nm)、
カリウムK(766nm)
などのアルカリ金属。


ICP分析の用途

ICPを利用した分析方法には以下の二つがある。
このどちらも定性分析と定量分析が可能。

1. ICP発光分析 (ICP-AES、ICP-OES)
2. ICP質量分析 (ICP-MS)


1. ICP発光分析 (ICP-AES)とは

ICP発光分析法は試料中の対象元素を誘導結合プラズマによって原子化して励起発光させ、この発光を検出する分光分析法のこと。

ICP発光分析法の名前

ICP発光分析法は名前が二つある。

この記事ではICP-AESで統一する。

ICP-AES

Inductively coupled plasma atomic emission spectroscopy

ICP-OES

Inductively coupled plasma optical emission spectrometry


ICP-AESはICPの高温により高感度な測定が可能となる。

ICP-AESの用途

鉄鋼分析
├炭素鋼
├低合金鋼
└高合金鋼
など

定性分析と定量分析

ICP発光分析は発生する原子発光スペクトル線の波長から定性分析を、
発光強度から定量分析を行うことができる。

ICP発光分析装置の構成

光源      :プラズマトーチ
試料導入システム:ネブライザー(霧吹き)+ペリスター定流量ポンプ
原子化システム :プラズマ(Arガス)
検出器     :CCD半導体検出器

ICP発光分析(ICP-AES)の原理

ICP発光分析装置は3つの主要部分で構成されている。

1. 励起・発光源
↓ hc/λ
2. 分光器

3. 検出器


1. 励起・発光源

ICPを発生させ、これにより特定の元素が特定の波長λの光を発する。

励起された元素は元素固有の波長で発光する。

その波長範囲はほとんどが300nm付近以下の紫外領域にあり、原子吸光分析よりも短波長領域である。

2. 分光器

光を波長ごとに分ける。

3. 検出器

測定することにより定性分析ができる。

また、光の強さ(発光強度)を測定すれば、元素濃度を求める定量分析も可能。


ICP-AESの分光測光部は、
光源から放射された光を効率よく分光器に導く集光系、
スペクトル線を分離する分光器と検出器からなる。

分光器は回折格子をもち近接線を分離できる分解能が必要。

測定パラメータ

高周波の出力
ガス流量
プラズマ観測高さ
分析線の選択
スリット幅
光電子増倍管の電圧調整
積分時間…


ICP-AES試料の前処理

調整した溶液試料をそのまま噴霧するときは、塩酸または硝酸酸性にする。

硝酸と過塩素酸、または硝酸と硫酸を用いて試料を分解する場合は
分解した後、白煙を十分発生させて大部分の過塩素酸や硫酸を除いておく。


誤差を引き起こす干渉

1.物理干渉

物理干渉は試料溶液の噴霧、輸送過程において試料溶液の塩類、酸および主成分濃度が高い場合に起こる。

物理干渉では、試料溶液の粘性、密度、張力などが変わって霧化の効率が変動することにより感度が変化する。

こういうときは試料を希釈して干渉のない範囲で測定するか、
マトリックスマッチング法、内標準法、標準添加法などにより干渉を抑制する。

マトリックスマッチング法

標準溶液と試料溶液の主成分濃度を合わせる方法


2.分光干渉

分光干渉はプラズマ自身のバックグラウンド発光、OH、NO、COなどの分子バンド、高濃度の多元素の発光線が分析線に重なっておこる分析妨害のこと。

こういうときは分光干渉の少ない分析線を選択し、バックグラウンド補正によりその影響を除去する。