FT-IRのお仕事

Fourier Transform Infrared Spectroscopy

内部標準法のやり方

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内部標準法のやり方

有名どころの定量分析法たち

1.絶対検量線法(検量線法、外部標準法)

2.内部標準法(内標準法)
→この記事で紹介

3.標準添加法

4.面積百分率法


2.内部標準法

内部標準法(内標準法、Internal standard)は定量分析において一番正確に定量できる方法。

内部標準法は絶対検量線法で検量線がうまく引けない時や、測定時間の長い時の選択肢となる。

なお、別に検量線がうまく引けた場合でも、適当な内部標準物質さえ見つかれば、内部標準法を選択してよい。

原子吸光分析(AAS)では塩類濃度が高くて検量線法が使えないときなどに使用する。


内部標準法に必要なもの

定量対象の標準物質

→濃度既知の標準試料(STD)を調製する。

内部標準物質(ISTD)

内部標準物質では、何を内部標準物質(ISTD、Internal standard)にするか決めることが非常に重要。

原子吸光分析(AAS)では分析対象元素と性質が似た元素の溶液を内部標準物質として用いる。

クロマトグラフィーでは目的成分と似た構造の化合物が内部標準物質として採用される。

質量分析(MS)では定量対象の構成元素を同位体置換した物質(サロゲート物質)が内部標準物質に選ばれることがある。

ISTDが重要な理由

定量対象と内部標準物質が測定環境等の変動により同様に影響するため。

クロマトグラフィーの場合、溶出時間が近いため。

内部標準物質として必要な条件

ISTDが化学的に安定であること。

ISTDが分析対象成分と物理的、化学的に似た性質を持っていること。

原子吸光分析(AAS)での内標準元素は、分析線に分光干渉を起こさず、共存元素の分光干渉を受けないことが必要。

クロマトグラフィーのISTDの条件

ISTDのピークが試料中の全成分のピークとほぼ完全に分離されること。

ISTDのピークは分析対象成分の近くに溶出すること。


内部標準法のメリット

目的成分と内部標準物質のみ検出できていれば、定量計算が可能。

注入量の誤差も補正できる。

内部標準法のデメリット

内部標準物質が見つからなければ分析不可能。

全ての未知試料に正確に内部標準物質を添加しなければならない。

絶対検量線法よりもサンプル調製に手間がかかる。


検量線法と内部標準法の違い

検量線法も内部標準法も検量線を作ってから濃度未知の試料の定量を行なうところは一緒。

内部標準法の特徴は、
標準試料(STD)と未知試料の「両方」に内部標準物質(ISTD)を「一定量」加えること。

添加する内部標準物質の濃度はなるべく目的成分の濃度レベルに合わせる。

内部標準法のやり方

まず未知試料と同じ濃度レベルの内標準溶液(ISTD)を調製する。
内標準溶液は濃度既知。

内標準溶液(ISTD)を
標準液(STD)に添加する。

標準液(STD)の分析において

STDの分析対象成分の濃度(C1)
STDの内部標準物質の濃度(C2)

STDの分析対象成分のピーク面積(S1)
STDの内部標準物質のピーク面積(S2)

とし、これらの比を補正値として取り、これを検量線にする。


タテ軸y
┃濃度比(C1/C2)




┗━━━━━━ヨコ軸x
. 内標との面積比(S1/S2)

内部標準法の最大メリット

分析対象成分と内部標準物質との比をとることで、
注入誤差、希釈溶媒の気化による試料濃度の変化、測定機器の感度の変化などがあっても内部標準物質の検出量が同様に変化するので相殺される。
(比は一定)

これにより分析対象成分をより正確に定量できる。

標準試料(STD)の分析

検量線 y=ax

検量線の傾きa=タテ/ヨコ


=y/x
=(C1/C2)/(S1/S2) ←STD


次に内部標準溶液(ISTD)を
未知試料に添加する。

未知試料についても同様に面積比をとり、これを検量線に当てはめて未知試料の分析対象成分の濃度を算出する。

未知試料の分析において

未知試料の分析対象成分の濃度(C'1)
未知試料の内部標準物質の濃度(C'2)

未知試料の分析対象成分のピーク面積(S'1)
未知試料の内部標準物質のピーク面積(S'2)

とすると、検量線から分析対象成分の濃度が算出できる。

検量線y=axより
未知試料の濃度比Y=a×未知試料のピーク面積比X

Y=aX
C'1/ C'2 = {(C1/C2)/(S1/S2)}× (S'1/S'2)
C'1 = {(C1/C2)/(S1/S2)} × (S'1/S'2) ×C'2

STDの分析対象成分の濃度(C1)
STDの内部標準物質の濃度(C2)
STDの分析対象成分のピーク面積(S1)
STDの内部標準物質のピーク面積(S2)


Y=aX
C'1/ C'2 = {(C1/C2)/(S1/S2)}× (S'1/S'2)

これを日本語訳すると以下のようになる。

未知試料の分析対象成分の濃度/未知試料の内部標準物質の濃度
= {(STDの分析対象成分の濃度/STDの内部標準物質の濃度)/(STDの分析対象成分のピーク面積/STDの内部標準物質のピーク面積)}
× (未知試料の分析対象成分のピーク面積/未知試料の内部標準物質のピーク面積)

左辺のC'2を右辺に持ってくると以下のようになる。

C'1 = {(C1/C2)/(S1/S2)} × (S'1/S'2) ×C'2

未知試料の分析対象成分の濃度
= {(STDの分析対象成分の濃度/STDの内部標準物質の濃度)/(STDの分析対象成分のピーク面積/STDの内部標準物質のピーク面積)}
×(未知試料の分析対象成分のピーク面積/未知試料の内部標準物質のピーク面積)
× 未知試料の内部標準物質の濃度

{(C1/C2)/(S1/S2)}の部分をすっきりさせると以下のようになる。

C'1 = {(C1・S2)/(S1・C2)} × (S'1/S'2) ×C'2

未知試料の分析対象成分の濃度
= {(STDの分析対象成分の濃度・STDの内部標準物質のピーク面積)/(STDの分析対象成分のピーク面積・STDの内部標準物質の濃度)}
×(未知試料の分析対象成分のピーク面積/未知試料の内部標準物質のピーク面積)
× 未知試料の内部標準物質の濃度


成分Aの濃度〔%〕
={傾きの補正係数f×(未知試料のピークAの面積/未知試料の内部標準物質のピーク面積)}
×(内部標準物質の試料量/未知試料の試料量)×100

傾きの補正係数f
=(STDのピークAの濃度×STDの内部標準物質のピーク面積)
÷ (STDのピークAの面積×STDの内部標準物質の濃度)


あるいは以下のように式を表すこともできる。

C'1 = {(C1/C2)/(S1/S2)} × (S'1/S'2) ×C'2

未知試料の分析対象成分の濃度
= {(STDの分析対象成分の濃度/STDの内部標準物質の濃度)/(STDの分析対象成分のピーク面積/STDの内部標準物質のピーク面積)}
×(未知試料の分析対象成分のピーク面積/未知試料の内部標準物質のピーク面積)
× 未知試料の内部標準物質の濃度

ここで
STDの面積比
=(S1/S2)
=STDの分析対象成分のピーク面積/STDの内部標準物質のピーク面積

未知試料の面積比
=(S'1/S'2)
未知試料の分析対象成分のピーク面積/未知試料の内部標準物質のピーク面積

内標濃度比
=(C'2/C2)
未知試料の内部標準物質の濃度/STDの内部標準物質の濃度
とすると、

未知試料の分析対象成分の濃度
= {(STDの分析対象成分の濃度)/STDの面積比} ×未知試料の面積比×内標濃度比
= STDの分析対象成分の濃度×未知試料の面積比÷STDの面積比×内標濃度比

こんな風になり、式がすっきりする。

未知試料の分析対象成分の濃度
=(標準品の採取量/試料の採取量)×(未知試料の面積比/STDの面積比)×(未知試料の希釈率/STDの希釈率)

未知試料の分析対象成分の濃度〔%〕
=(標準品の採取量/試料の採取量)×(未知試料の面積比/STDの面積比)×(未知試料の希釈率/STDの希釈率)×100

内部標準法の注意点

測定サンプルに後から内部標準を加えると試料体積や成分の濃度が変わってしまう。

内部標準物質は希釈等の前処理の段階で添加する。

または体積変化が無視できるほど添加量が少量になるよう濃度を高くして添加する。
この場合には添加量の誤差が起きないよう注意する。